斜角筋症候群?
- Hiroshi Andoh
- 2024年9月27日
- 読了時間: 4分
更新日:2024年10月31日
先日いらっしゃった患者様の症状に関連する病態についてお話をしたいと思います。
訴えは「左の手がしびれる」「力を入れると左腕が痛い」でした。
しびれを生じる病態は色々とあるのですが、この患者様の左腕の筋肉はパンパンに張っていて、左側の首の筋肉の状態を確認すると「斜角筋」という首の横辺りの筋肉が張っていました。
また、鎖骨の下辺りの「小胸筋」も張っていて、首から腕につながる神経や血管の通り道が筋肉の過緊張で邪魔されている感じでした。
そこで、そういう状態が原因となる病態を疑い整形外科的なテストを行ったのですが、訴えていたしびれや痛みの症状が再現されました。
やはり「斜角筋」や鎖骨の下辺りにある「小胸筋」の過緊張が神経や血管の通り道を圧迫していることにより症状が生じていたのです。

※胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)という総称的な病態の中に、原因となる部位ごとに斜角筋症候群(しゃかくきんしょうこうぐん)、肋鎖症候群(ろくさしょうこうぐん)、過外転症候群(かがいてんしょうこうぐん)または小胸筋症候群(しょうきょうきんしょうこうぐん)などがあります。

今回の患者様は普段は空手の師範でもあり、趣味でブラジリアン柔術もほぼ毎日のようにされている方なので、握力や首の力もよく使うスポーツですし、その影響なのかと思います。
治療は斜角筋への鍼治療、小胸筋のストレッチ、前腕の手を握るときに使う筋肉への鍼通電治療、手の経絡上の経穴への鍼灸治療を行いました。
その後は首の筋肉のストレッチポールを使用したセルフケアの方法をお伝えして継続していただいております。
治療後は、今のところ痛みやしびれなく過ごせているとのことです。
また、別の患者様でしびれは生じていなかったものの「斜角筋」が異常に張っている方がいらっしゃいました。原因はラフティング(ゴムボートでの川下り)中の後方からの衝撃によるいわゆるむち打ち(頸椎捻挫)による過緊張状態でした。重い頭を支えるために急な衝撃に耐えようと身体が防御的に反応したためです。しびれはないけれども外傷による首の痛みでの来院でした。こういった事故によっても首の筋肉は過緊張状態になります。
以前、「手がしびれる」というブログでも書いたかもしれないのですが、手のしびれの原因の根幹となるところは首周りの状態であることが多いです。
その首周りの状態の中でも筋肉の過緊張が原因である場合は、その筋肉の緊張を緩めてあげることで神経や血管が圧迫から解放されスムーズな血流と神経の伝達が行われる状態に回復するので、鍼灸治療が有効となることは多いです。僕らは骨の状態を変えることはできませんが、筋肉の状態を調えて変化させることはできます。
この患者様も整形外科を受診されており、神経の状態を回復させるための薬なども処方されておりましたが、理学療法や鍼灸治療などと併行して治療を進めると回復が促されるケースは多いと思います。
東洋医学において、痛みが生じる場合は気・血・水の流れが滞りを疑います。
これは西洋医学においても同様です。血管や神経は全身に張り巡らされているので、局所的に血流や神経の伝達などが滞ると痛みやしびれを生じるんです。そして局所的な滞りが長く続けば全身の状態にも影響してくることもあります。
局所だけでなく全身の状態を推察していくのは、東洋医学的な見方の得意とするところでもあります。
まずは局所的な問題が大きくならないうちに鎮めることが大事です。
腕が張っていれば、まずは腕の血流をマッサージやストレッチで改善してみる。それでもすぐに状態が戻ってしまうようであれば、腕から段々と身体の中心のほうに辿っていき緊張している筋肉がないか確認してみると良いと思います。首の周りのストレッチなどはわからなければYouTubeなどの配信動画なども参考にすると良いかと思いますが、繊細な部分なのでポイントを専門家に相談しながら進めるのが良いと思います。
ぜひ、整形外科や治療院に通われていてなかなか症状が改善しないなあ、なんていう時にはなんでもお気軽に相談していただければと思います。
今現在の治療が間違っているわけではないと思いますので、状態を診させていただき現行の治療と併行したサポートができればと思います。
荻窪鍼灸治療院SORA
安藤 浩
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